車を軽く

世界で広がる脱炭素、カーボンニュートラル

地球規模での温暖化や気候変動による環境への影響が、年々深刻化する中で、2015年に気候変動問題に関する国際的な枠組みとしてパリ協定が採択されました。こうした動きを受けて、日本を含めた120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げています。

リョービグループとしても、2050年までにカーボンニュートラルを達成するなどを目標とした環境負荷低減目標を発表しました。温暖化を促進する二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向けて、自動車産業をはじめ社会全体で脱炭素の取り組みが進んでいます。

図:カーボンニュートラル

高まる自動車の軽量化ニーズ

世界的な脱炭素の流れを背景に進む「自動車の電動化」。燃費や電費の向上など、自動車の航続距離延伸に向けて軽量化ニーズが高まっています。

約2万~3万点と言われる部品の中で、バッテリーなどの電装品やボディ・シャシーを含めて更なる軽量化が求められています。こうしたニーズに、リョービは軽量でリサイクルシステムが確立され、高い循環性能を持つアルミダイカストで「クルマを軽く」します。

図:自動車の軽量化部品
いろんなところを軽くします!

軽くて強い金属「アルミニウム」

アルミダイカストで使うアルミニウムは他の金属に比べ、とても軽い金属であるため「軽金属」と言われています。その比重は2.7で、比重7.8の鉄に比べると同じ体積の製品では約1/3の重量になります。

他にも電気や熱の伝導性の高さ、強度や加工性、耐食性の高さなど優れた特徴が数多くあります。ダイカストの原材料とするために、銅やマグネシウム、シリコンなどの元素が添加されて、さまざまな特性を持ったアルミ合金が出来上がります。

こうした原材料を元にダイカストや鋳造などによって製品が作られます。自動車1台当たりのアルミ鋳造材(ダイカスト・鋳物)の平均的な使用量では、2000年の98kgから2019年には138kgと、この20年足らずで1.4倍も増加しています。

図:アルミと鉄の比重比較

ダイカストの特長

ダイカストとは、アルミニウムや亜鉛、マグネシウムなど非鉄金属の合金を溶かした溶湯を精密な金型に高速・高圧で充填し、瞬時に製品を成形する工法や製品のことを言います。

同じ製品を高い寸法精度で、かつ短いサイクルで大量に生産することができるため、世界で年間9,000万台以上が生産される自動車や二輪車など輸送機器の部品として数多く採用されています。

国内自動車向けアルミ製品の工法別構成比では、ダイカストが約50%以上で使用量が70万t以上となっており、自動車の軽量化ニーズにより今後も増加が見込まれています。

図:製造過程イメージ
グラフ:自動車向けアルミニウム広報別構成比
ダイカストが注目されています。

アルミダイカストの軽量化技術①「薄肉化」

アルミダイカストの原材料として用いられるアルミ二次合金は、軽量で、かつ強度が高いというアルミの特性によって、自動車など輸送機器の部品に数多く採用されています。

こうした材料としての特長に加え、アルミダイカストは、複雑で精密な形状を作るのを得意としています。そのため、製品の強度や剛性を保ちながら厚みを薄くしていくことによって、軽量化を可能にします。薄肉化を実現するためには、鋳造法案と言われる金型の各要素の微細な設計が求められます。

溶けたアルミ合金(溶湯)を製品形状となるキャビティ内に適切に充填するために、CAE※技術などによる3次元鋳造シミュレーションなど各種の解析によって、鋳造法案や充填時の鋳造条件を最適化することで「薄肉化」を実現します。

※ Computer Aided Engineering

図:CAE※技術

アルミダイカストの軽量化技術②「一体成形」

自動車は鉄やアルミ、樹脂など、さまざまな素材でできている複数の部品が溶接やボルト締結、接着などによって組み合わされて構成されています。

複雑で精密な形状を成形することに優れたアルミダイカストは、このような複数で構成された部品を一体で成形することを得意としています。

一体化によって軽くできるだけでなく、部品それぞれの加工工程の削減、接合時に必要なエネルギーやCO2の削減にもつながります。

図:一体成型
複雑な形を一体成型できるんです。
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